【2】発達障がい児も母も双方向でオキシトシンが増えるアロマセラピーのメカニズム

「オキシトシンを増やしたい!」

オキシトシンについて説明した記事を読んだ方はそう思っていることでしょう。オキシトシンには自閉症改善効果があり、さらに母である私たちを美しく原器にしてくれるのですから!

※オキシトシンについてはこちらをご覧ください。→脳内ホルモンオキシトシンとは何か?

オキシトシンを増やすにはアロマセラピーが最も効果的です。アロマで癒されてリラックスというだけではありません。アロマセラピーは私たちの心と身体を元気にしてくれます。ここでは、その仕組みを説明します。

ただ、なんとなくやってみるのもいいのですが、正しい知識を得ることでより実感が深まり、続けていくことの大切さを感じていただけると思います。

アロマセラピーのメカニズム

植物から抽出した天然の芳香成分(精油)を使って心と体をの健康にする自然療法を言います。
精油が身体に働きかける仕組みは以下の3つのメカニズムによるものです。
1.鼻から脳
2.鼻から体内
3.皮膚から体内

それぞれについて詳しく説明します。

鼻から脳

もし、手元に好きな香りの精油のビンがあれば、フタを開けて香りをかいでみてください。精油がなければ、オレンジの皮をむいてもいいし、もしくは、その状況をイメージしてみてください。


しっかり息を吐いて、深く香りを吸い込んだとき、どんな感じでしょうか?
「いい香り~♪」うっとり癒される気持ちになるかもしれません。その時、私たちの身体では次のようなことが起きています。
香りの分子が吸い込まれて、鼻の奥の粘膜にくっつきます。
そして、嗅細胞がその分子をキャッチして情報を電気信号に変換します。
その信号が嗅神経から嗅球に伝わります。こうして、私たちは香りを感じることができます。
脳に伝わるのは、香りの成分そのものではなく、香りという情報です。
いい香りの情報が伝わると、脳は心地よいと感じ、わずか20秒ほどで自律神経が整います。
某化粧品メーカーの実験によると、成人女性がローズ、ジャスミン、ネロリ(オレンジの花)などの香りを嗅ぐとオキシトシンが増加したということです。
(これは、他の香りがダメということではなく、実験データがあるのがこれらの香りだということです)

鼻から体内

呼気として香りを吸い込むと、吸い込んだ香りの成分は空気とともに気管を通って肺に入ります。
肺には毛細血管がたくさん集まった肺胞があります。
香りの成分はここから毛細血管に入り、血流に乗って全身を巡っていきます。

皮膚から体内

私たちの皮膚は図のような構造になっています。

皮膚は構造上、表皮と真皮に分けられます。
表皮の一番深い部分、基底層で新しい細胞が生まれます。
それが、少しずつ変化しながら上の層に押し上げられていきます。
そして、角質層まで到達すると、外部から不要なものが体内に侵入するのを防ぐためにバリア機能を働かせます。
この、角質層の一番深い部分はバリアゾーンと呼ばれています。
その後、死んだ細胞が角質層を形成し、古くなると垢として剥がれ落ちていきます。(これが、皮膚のターンオーバーといわれるサイクルで、若い人だと約28日周期です。)
通常、健康な皮膚はバリアゾーンの機能で余計なものはブロックされます。
たとえば、私たちがお風呂に入っても身体がふやけて膨張しないのは、余計な水分がバリアゾーンでブロックされるからです。
でも、アロマの精油は、このバリアゾーンを通過することができると言われています。
それは、分子が非常に小さいことと、脂溶性という性質のためです。
アロマ精油配合のオイルや化粧品を肌に塗ると、精油成分がバリアゾーンを通過して真皮まで到達し、真皮の毛細血管に入って血流とともに全身を巡ります。

これに対し、一般の化粧品の有効成分はバリアゾーンでブロックされるので、どんなに高価なスキンケア化粧品を使っても、表皮の角質層を整える働きしかありません。もちろん、角質層を潤して整えることもスキンケアには大切ですが、化粧品広告などで「深く浸透」と謳っていても、それは角質層までです。
(広告をよく見ると、すごく小さい字で「角質層まで」と書いてありますので、ぜひ気を付けて見てみてください。

皮膚細胞が作られる真皮に直接アクセスするアロマスキンケアと、角質層だけのケアにとどまる一般化粧品のスキンケアにはこんなに違いがあるのです。

体内に入った精油はどうなるか?

肺や皮膚から体内に入った精油成分は血流とともに全身を巡り、約半日で、汗や尿などと一緒に自然に排出されます。この、自然に排出されるというのは大切なポイントです。通常、薬品類の場合は、体内に長くとどまるため、それを排出するにはろ過する肝臓に負担をかけてしまうからです。アロマの精油は約半日で排出されるため、身体に無理がありません。

ただ、体内にとどまる時間が短いので、アロマセラピーによる効果や変化の実感を期待するのであれば、毎日続けることが大切です。もちろん、一度きりの体験だとしても、その瞬間のリラックスやリフレッシュの効果は得られるので、リラクゼーションが目的であれば、一度きりでもよいのですが、自然派の予防健康法として考えるのであれば、ぜひ、毎日アロマを生活に取り入れてみてください。

タッチング

アロマトリートメントではこれらの3つのメカニズムだけでなく、タッチングによる効果が加わり、相乗効果を高めます。

皮膚と脳の関係

オキシトシンの増やし方のところでも書きましたが、皮膚は単なる外界との境界ではなく、「第3の脳」とも言われ、高度な神経伝達ネットワークを持つ器官です。
解剖学の基礎で「皮脳同根」という言葉があります。これは、私たちの誕生の過程に由来するものです。1個の受精卵から細胞分裂を繰り返し胚葉という段階にあるとき、外胚葉、中胚葉、内胚葉の3つの部分に分かれていますが、皮膚と脳は、どちらも外胚葉から派生した器官なので、お互いに影響しあっているという意味です。
たとえば、ストレスなどで脳がダメージをうけると、皮膚にも影響が出て、肌が荒れたり、色つやが悪くなったりということは私たちも日常的に体験していることです。
(皮膚と同様に髪やツメも外胚葉からできる器官なのでストレスが髪やツメに影響することもあります)
逆に皮膚をいい状態に保つためにケアすることで気分がすっきりしたりするのも皮膚と脳の関係性の表れです。

「痛いのとんでけ」のメカニズム

子どもの頃、転んで擦りむいたときや、おでこをぶつけたときに「痛いの痛いのとんでけ~!」と、優しくさすってもらったことはありませんか?
あれは、ただの子ども騙しのおまじないだと思っていましたが、実は、そのおまじないには実際に痛みを軽減するメカニズムがあります。
怪我をして痛いのは「痛い」という刺激が情報として脳に伝わるからです。
優しくさすって「気持ちいい」という刺激も脳に伝わることによって感じることができます。
「痛い」と「気持ちいい」は脳への伝わり方に違いがあります。
「痛い」情報は細い神経線維を通ってゆっくり脳に伝わりますが、「気持ちいい」情報は太い神経線維を通って早く伝わります。
つまり、「痛い」よりも「気持ちいい」方が優先的に脳に伝わるのです。
そのため、痛みがあっても、優しくさすって気持ちいい刺激を送ると、痛みが軽減したように感じられるのです。
胸が苦しい時に背中をさするなど、痛い場所を直接触れなくても同様の効果があります。

タッチングによるオキシトシン効果

また、タッチングはオキシトシン分泌を促すので、オキシトシン効果によって痛みが緩和して怪我の治癒を早める効果もあります。
香りやオイルなど他の要素を入れずにタッチングだけでも痛みの緩和やメンタルのケアができます。(タッピングタッチなどの手法がその例です)

アロマトリートメントをお勧めする理由

アロマトリートメントではアロマセラピーの3つのメカニズムとタッチングによる効果がすべて体感できます。
しかも、この効果には双方向性があり、トリートメントしてもらう人だけではなく、トリートメントする側の人にも同じように効果があります。
アロマケアを専門とするサロンなどでは、これにさらにリンパやツボなどの理論を取り入れて、より効果を高める施術が受けられますが、ここに紹介した効果は、そういった専門的な知識や技術を必要としません。
香りを感じ、深く吸い込み、優しいタッチで皮膚にオイルを塗る、それだけでいいのです。
難しく考えずに、ぜひ、試してみていただきたいと思います。

発達障がいの子どもと一緒に簡単にできるハンドトリートメントのやり方を別の記事で紹介しています。→手遊び感覚でできるアロマハンドトリートメント

参考図書

アロマセラピーのメカニズムはこちらの本に詳しく説明されています。少し難しい箇所は読み飛ばしてもいいでしょう。テレビですっかり有名になった認知症対策アロマについても紹介されています。アロマセラピーの根拠となる基礎知識が身に付きます。

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