1月17日…
阪神淡路大震災の日です。(…と書いているうちに日付が変わってしまいましたが)
当時、大阪府豊中市に住んでいた私は、自分自身は怪我も大きな家屋被害もなかったものの、屋根や壁が崩れた建物、道路から噴き出す水、停電、交通マヒなどの混乱の中、異様に緊張と興奮が続いた日々がトラウマになっています。
その後、東北や熊本、昨年は大阪北部地震や広島の豪雨など大きな災害が続き、災害は滅多に起きない不幸な出来事ではなく、いつでも起こりうる現象なのだと感じるようになりました。
防災、減災のために活動する方も増え、阪神淡路の時に比べたら、防災意識、情報、制度など、少しずつ進化していると思いますが、防災には「これで完璧!」と言えるようなゴールはありません。
そこで、今日は障害児を抱える家族の防災や、防災に役立つアロマについて書いてみようと思います。
障害児を連れて被災することの不安
事件や災害のニュースを見ると、「自分がその場にいたら、どうすればよかったのかな?」といつも考えます。どうすれば、安全に逃げられるか、少しでも助かる可能性のある方法はあるのか、頭の中でシミュレーションしてみるのです。
でも、熊本の震災の後、発達障害児を連れて避難所で過ごすことができず、車の中で暮らす人、余震で崩れる危険があっても自宅にとどまらざるを得ない人などのことを知ったとき、もし自分が被災したらどうしたらいいんだろうと途方に暮れてしまいました。
そのどうしようもない不安がきっかけで、昨年、一昨年は、ある親の会の活動で、障害者の防災について考えるシンポジウムや勉強会の開催にかかわることになりました。
また、そのような活動をする時点では「被災当事者になる可能性はさほど高くないけれど、毎年どこかで災害が発生しているのだから、被災者を支援する機会は必ずある!そのためにも勉強しないと!」と考えていたのですが、なんと、勉強会のあと、大阪北部地震が発生して、思いがけず被災者の立場も経験してしまいました。うちは家屋被害がほぼなかったので、避難することはありませんでしたが、災害後ナーバスになる子どもがいたり、日常が簡単にくずれるもろさを感じたり、たくさんの課題をつきつけられた体験でした。
障害児と避難するために何が大切か
避難しなくていい環境
結論から言うと、避難することが困難な状況になる者、避難所で過ごすことが難しい者は「避難しなくていい環境」に身を置くのがベストです。
安全な場所(ハザードマップなど参考に)にある、安全な家(耐震性、家具の固定など)に、非常時のための備蓄(食糧、水、その他)を備えていれば、避難しなくてもいいわけですから。
状況に合わせた対策プラン
でも、今住んでいる場所を簡単に移せないということはもちろんあると思いますし、地震などはいつ、どのような状況で発生するか予想できないので、在宅時、外出時、移動中など日常生活の中での状況別に対策プランを考えておかなくてはなりません。うちの息子のように重度の障害児はひとりで行動することはほぼありませんが、それだけに、学校や福祉事業所などとあらかじめ災害時の行動について確認しておく必要があります。大阪北部地震の発災時は、うちはまだ登校前で家にいたのでよかったのですが、すでにスクールバスに乗車していたお子さんのご家族などは連絡もスムーズにいかず、バスの乗務員さんは個々の判断で対応されたようで混乱はあったようです。
避難しなければならなくなったら
では、もし、避難しなければならなくなったとき、どうすればいいのでしょうか?
大災害ではなくても、毎年、何回かは台風や大雨などの際に自治体から「避難準備」や「避難勧告」が出ることがあります。「避難は難しい」と感じていても、自宅避難に不安がある方は、場所と環境の確認のためにも、お子さんと一緒に避難所に行ってみるほうがよいと思います。「避難準備」の段階では、さほど危険はない(まあ、はっきり言ってなんともないと感じるくらいの)状況で避難所にはほとんど人もおらず、自治体の職員さんが暇そうに待機しておられるだけだったりします。その時に、どんな環境なのか確認して、子どもの特性なども伝えておけたら少しは安心かなと思います。
「避難準備」の段階ではあまり災害の切迫感はないと思いますが、練習くらいのつもりでもいいのでとにかく避難所に行ってみることで気づくことがたくさんあります。発達障害の子どもたちは初めての場所が苦手な場合が多いので少しでも慣れておくに越したことはありません。
まあ、正直言うと、私は去年実際に近所の避難所を見に行って、本当に必要な時はここに避難すると覚悟も決めた上で、やはりできる限り自宅避難を考える必要があるなと実感したのですが、それも、避難所を見てみないと感じられません。
そして、もし、非難する場合、避難所では避難者はお客様ではなく、共同生活の一員として、避難所運営に協力していかなくてはならないという気持ちも忘れてはいけないと思います。
自分のセイフティネットワークを作る
防災は「自助・共助・公助」と言われます。行政頼みでは不十分なこと、行政の対応を待っていたら手遅れになることだってあるのです。自分で備えることや、ご近所知人友人など個人的に協力し合える繋がりも含めて、何重にもセイフティネットを張り巡らしておくことが重要です。安否確認だって誰かが確認してくれるのを待つだけでなく、「私は無事です。そっちは大丈夫?」とLINEメッセージを自分から発信するだけでも誰かに安否が伝わりますから。障害者を抱える家庭では特に助け合える関係がいざという時、本当に心強いものです。
ほくせつ親子防災ノート
ほくせつ親子防災ノート
ところで、昨日、子どもが学校からこんなものを持ち帰りました。
ほくせつ(北摂)は大阪府北部地域のことでこの冊子は茨木市を中心に活動するほくせつ親子防災部が作成したものです。
これを作った方とはご縁があり、実は学校でもらう前にすでに私は持っていて、知り合いにも紹介したりもしました。かわいいイラスト入りで分かりやすくコンパクトにまとまっています。東北地震、大阪北部地震や台風21号の体験談も載っていてリアリティが感じられます。
災害時に役立つアロマ
そして、注目はこちらの8ページ
防災グッズのページに、アロマの精油(ティートリー)が紹介されています。
そう!アロマは防災グッズとしても頼もしいアイテムなのです。
なんせ、防災グッズって、揃えだしたらきりがないというか、「これ持って逃げられる?」というくらい大荷物になってしまいます。精油の小瓶はコンパクトですが、抗菌、殺菌、など幅広く活用できます。
でも、どう使うの?ってなりますよね。使い方を知らなければ、防災グッズに入れていても、宝の持ち腐れ。
もし、防災グッズに精油も入れておこうという方は、50mlくらいの小さなスプレーボトルも入れておくと活用しやすいと思います。
一般的なアロマスプレーの作り方レシピとしては、無水エタノールと精製水を使いますが、非常時なんで、水(水道水でも飲料水でも)だけでもいいでしょう。スプレーボトルに精油数滴(5~10滴くらい)と水を入れてよく振ってから使います。
ティッシュなどにシュッとして除菌シートの代わりにも使えます。
ティートリー以外では、ラベンダーやペパーミントも殺菌効果がありますし、香りでリラックスやリフレッシュできるので災害時のストレス軽減にもなりそうです。
参考までに、普段の生活に取り入れたい簡単アロマスプレーの作り方はこちら
まとめ
「うちは障害児がいるのに、災害が起きたらどうしよう…」という不安は障害児のいる家庭ならみんなかんじていることです。でも、不安がっているだけではどうにもなりません。災害は必ず起きるものと考えて、できる限りの備えをしましょう。
避難しなくてもいい環境を考えつつ、地震のような突発的な災害に備えて、状況に合わせた対応について考えておきましょう。また、行政頼みではなくいざというときに助け合える関係づくりも大切です。
防災グッズにアロマ精油を入れておくと、いざという時に幅広く活用することができます。
災害時のアロマ活用についてはこちらの記事でももう少し詳しく紹介しています。