アロマセラピーとは、薬の代わりに植物の芳香成分である精油を活用した自然療法です。
インテリアショップや雑貨店などでは合成香料の芳香剤なども売られていますが、まったく別のものです。
安全で、効果的なアロマセラピーを実践するために、精油について正しい知識を身につけましょう。
精油とは
精油(エッセンシャルオイル)とは、植物が持つ揮発性の芳香成分のことです。植物はこの精油の働きによって、病害虫から身を守ったり、受粉を助けてくれる虫を引き寄せたりしています。
花、葉、実、根、皮など、植物の種類によって精油が多く含まれる部位が異なり、抽出方法も様々です。また、同じ植物であっても部位によって異なる精油が抽出できるものもあります。
(例:オレンジ 皮→オレンジ、葉→プチグレン、花→ネロり)
植物の種類によっても異なりますが、コップ一杯の精油を抽出するには何十キロもの植物が必要で、大量の原料からほんの僅かしか抽出できない貴重なものです。
主な抽出方法
水蒸気蒸留法
最も一般的な抽出方法です。原料植物の芳香成分を蒸気で気化させたものを冷却して精油と芳香蒸留水を抽出します。
簡易な卓上蒸留器などを使って抽出することもできます。(ただし、抽出できる精油はほんの僅かです)
圧搾法
柑橘類の皮を押しつぶして芳香成分を取り出す方法です。
有機溶剤抽出法
石油エーテルなどの有機溶剤に原料植物の芳香成分を溶かし出したあと、有機溶剤を取り除く方法です。
加熱しないため、水蒸気蒸留法では抽出できない繊細な花の香りなどを抽出することができます。
精油を扱う際の注意
精油とは、大量の植物からほんの僅かしか得られないものです。
原料の植物に含まれている成分であっても、抽出されたものは自然には存在しないほど濃厚です。
皮膚に原液を直接つけたり、食べ物や飲み物に加えて摂取したりすると危険なので絶対にしてはいけません。
(経口摂取は薄めたものであっても厳禁です)
皮膚機能を壊してアレルギーのような症状を引き起こしたり、胃粘膜を傷つけて健康を損ねる可能性があります。
比較的安全性が高いと言われているラベンダーやティートリーなども、原液塗布によって肌がボロボロになってしまった例もありますので肌につける場合は必ず安全な濃度に希釈して使いましょう。
紛らわしい商品に注意
日本では精油は「雑貨」として扱われます。
そのため、芳香用の合成香料など見た目では区別しにくい紛らわしい商品が存在します。
「雑貨」なので成分表示のルールも曖昧です。(精油メーカーが独自に成分表などをつけている場合もあります)
でも、見た目が似ていても、精油と合成香料はまったく別のもので、アロマセラピーで使用するのは本物の精油だけです。
精油(またはエッセンシャルオイル)の表示で、植物の名前が学名で表記され、原産国、抽出部位、抽出方法などが詳しく書いてあるものは、本物の精油だと考えられますが、
よくわからない場合は、質問してきちんと説明のできるスタッフのいる専門店やアロマサロンで購入しましょう。
精油の保管について
直射日光、高温になる場所を避けて保管し、早めに使い切りましょう。
柑橘系のものは半年以内、それ以外は1年以内が目安です。
期限が過ぎてしまった精油は、香りに問題がなければ芳香に、また、掃除などに使うことができます。