発達障がい児母のための笑顔になるアロマセラピー

初めてのアロマセラピーの第一歩は好きな香りを感じること

発達障がいの子どもにアロマトリートメントしたいと思っても、子どもが嫌がったり、ゆっくり取り組む時間がなかったり、思うようにいかないこともあります。
そんな時でも、部屋で好きな香りを芳香させるだけなら簡単にできます。(芳香だけでも立派なアロマセラピーです)

好きな香りを使う

室内でアロマ精油を芳香するとき、どんな香りを使えばいいのかと迷います。
アロマセラピーの本を見れば、成分や効果効能などたくさんの情報が書いてあるし、専門店へ行けば、たくさんの種類の精油が並んでいるし…。
でも、いちばん大切なのは好きな香りを使うことです。
たとえば、「ラベンダーは気持ちが落ち着いてよく眠れる」と言っても、ラベンダーの香りが嫌いな人にはストレスになってしまいます。
それよりは、自分の感覚で直感的に選んだほうが、自分の必要な香りを知ることができると思います。
でも、そこで悩んでしまうのです。
発達障がいの子どもは好きな香りが分かるのでしょうか?
うちの子は重度の自閉症で言葉でのコミュニケーションは困難です。
最初、アロマを勉強し始めたとき、オキシトシンが増えるというローズ精油に興味があったのですが、ちょっと試してみるにはあまりにも高価で勇気が出ませんでした。
(ローズオットー精油は5mlの小ビンが3~4万円します)
その時、先生に「ローズにこだわらず、好きな香りを使うのが大切」と言われて困惑したのです。
「うちの子喋らないし、香りを感じているかも分からないし、ましてや好きかどうかなんて確かめようがないです。」
すると、先生が香りのサンプルを作ってくださったので、持ち帰って子どもに試してみました。
匂いを嗅ぐように伝えても、理解できるかどうか不安なまま、ジェスチャー交じりに伝えて、ひとつずつ鼻先に近づけてみました。
すると、香りによって明らかな反応の違いがありました。
口を開けたり、もっと鼻を近づけたりするものは、多分好きな香りだろうと思いました。
そして、全く無視、無反応なものや、避けようとするものは、苦手な香りだろうと思いました。
そんな子どもの反応と、私自身の好みも併せて、その時選んだのはゼラニウムとカモミールローマンでした。
その時の経験から、恐らく、コミュニケーションが困難な子どもでも、好きな香りは分かるのではないかと思います。
むしろ、嗅覚は原始的で重要な感覚なので、先入観のない子どもたちのほうが素直に感じられるようです。
ただ、それでもよく分からない場合もあるかもしれません。
匂いを嗅ぐ指示が伝わらなかったり、集中できなかったり、また、言葉の話せる子どもでも、どの香りもすべて「臭い!」としか言ってくれない場合もあります。
分からないときは、無理せずに、母の好みで選んでください。
母が好きな香りで癒されて気持ちが落ち着けば、それが子どもにも伝わり、子どもにとっても安心できる香りになります。

芳香の方法あれこれ

特別な道具が要らない方法

いちばん簡単で手軽なのは、ティッシュに精油を数滴垂らし、室内に置く方法です。
私も最初はこの方法で、子どもが寝た後、精油を垂らしたティッシュをそっと枕元に置きました。芳香のためにディフューザーなど見慣れないものを子どもの部屋に置くと、気にして触ったり壊したりしてしまいそうですが、この方法ならそういった危険がありません。

カップにお湯を入れてそこに精油を垂らす方法もあります。これも、特別な道具が必要ないので手軽で、お湯で温められた精油が揮発して室内に広がりやすいです。
でも、ひっくり返さないように置き場所に気を付けないといけないことと、カップに入れるとうっかり間違って飲んでしまいそうなのでその点は注意が必要です。

アロマスプレー

精製水、無水エタノールを使って簡単に室内芳香のアロマスプレーが作れます。
外出時や旅行などでも持っていけるし、車の中などでも手軽に使えます。香りの持続性はあまりないので、必要な時に気分転換などポイントで使うのがよいでしょう。
ただし、子どもがスプレーボトルで遊んでしまうような場合は注意が必要です。(うちの子は液体の入ったボトルは空にするこだわりがあるのでスプレー類は隠しています)

アロマディフューザー

インテリアショップ、アロマ専門店などで色々なタイプのものが販売されています。
香りをしっかり香らせるのなら
超音波式かオイルを直接噴霧するタイプがお勧めです。


加熱式のもの(アロマランプ)は、火や電球の熱を利用するため本体が熱くなり子どもが触ると危険なのでお勧めしません。
超音波式は精油を水に垂らして使います。精油をブレンドして使いたい場合も簡単です。
オイル噴霧式は精油をそのまま噴霧するのでピュアな香りが楽しめます。
デザイン、特徴、お手入れなど考えて、使用場所に合わせて選びましょう。

量よりメリハリとタイミング

アロマの芳香がいいとなると、つい一日中部屋を香りでいっぱいにしたくなります。
でも、一日中香りを充満させることは、効果の点ではあまりお勧めできません。
アロマ芳香によるストレスの軽減の実験では、A.ずっと香りを嗅ぐ B.ストレスを感じた時に香りを嗅ぐ C.香りを使わない の3つのグループに分けて実験したところ、B.のグループが最もストレス軽減効果があったそうです。
精油の成分を最もたくさん吸収しているのはAグループであるにもかかわらずBグループの方が効果があるのです。
Aは、ずっと香りを嗅ぎ続けることによって、香りに対して鈍感になってしまい、効果が薄れたのだと思われます。
認知症予防のアロマでも、時間によって香りの種類を使い分けることが症状の改善につながります。
つまり、香りの量や濃度ではなく、場面によってメリハリを利かせながらポイントで使うのが最も効果的な芳香だと考えることができます。
音楽でいえば場面に合わせて選ぶBGMのようなイメージです。
間違っても、香りを充満させた部屋に子どもを閉じ込めるようなことはやめましょう。
それは、「モーツァルトがいいから!」と、大音量で同じ曲をエンドレスリピート再生するようなものです。

ペットに注意

人間にはいい香りで、身体や心によい作用のあるものであっても、ペットには注意が必要な場合があります。
身体は人間よりずっと小さく、嗅覚は鋭いため、影響を受けやすいのです。特に肉食動物である猫は、植物由来の成分を代謝できないので命にかかわる場合もあり、注意が必要です。

ペットのそばでは使わないようにし、換気にも気を付けましょう。

まとめ

アロマトリートメントができなくても芳香は手軽にできるアロマセラピーです。

好きな香りを選びましょう。ディフューザーなど芳香用の道具があると便利ですが、なくても簡単に芳香する方法もあります。

ペットを飼っている場合はペットのそばでは使わないようにしましょう。